消防法:防火管理者の選任
防火管理者の選任が必要かも?
「防火管理者」というと、火を扱う飲食店だけのイメージがあるかもしれません。
しかし、事務所でも防火管理者を設定しなければならない場合があるのはご存知ですか?
今回は消防法で定められている、防火管理者について、ご紹介したいと思います。
消防法で定められています
消防法では、「一定規模の防火対象物の管理権原者は、有資格者の中から防火管理者を選任して、防火管理業務を行わせなければならない」とされています。
防火管理者とは
防火管理者は、多くの人が利用する建物や施設の火災による被害を防止するため、消防計画の作成、消防設備の維持管理、避難訓練の実施など、防火管理上必要な業務を行う責任者のことで、防火管理業務を適切に遂行することができ、従業員らを管理、監督できる地位にあることが求められます。
一般的な言葉にすると、管理権原者とは、ビルの所有者や管理者など、防火管理において最終責任を負う者のこと。
防火管理者は、そのビルに入居するテナントの責任者が選任されるイメージです。
防火管理者の資格取得
防火管理者には甲種・乙種の2つの資格の種類があります。
どちらも指定の講習を受講することで取得することができ、今年度、横浜市では中区山下町にある【横浜市研修センター】にて講習が行われています。
近くの消防署かWEBで申し込みができるのですが、WEB申込みは早めに定員に達してしまうため、急ぐときは消防署の予防課に問い合わせると、直接窓口申し込みの枠がまだある可能性があります。
また、甲・乙どちらの資格が必要かも、最寄りの消防署に問い合わせると教えてくれますよ。
防災管理者という言葉もあります
防火管理者が、【火災による被害を防止する】のに対し、防災管理者は【火災以外の災害による被害を防止する】ことに努めるもの。
地震やテロなどがこれにあたります。
防災管理者は甲種防火管理者の資格を有しているものに限られていますが、新規で甲種防火管理講習を受講する場合は同時に受講する流れになっています。
一定規模の防火対象物?
それでは、防火管理者を設定しなければならない「一定規模の防火対象物」とは、どんな建物のことをいうのでしょうか。
防火対象物とは
消防法では、「防火対象物とは、山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属する物をいう。 」と定義されています。
では建築物とは。
建築基準法では、「土地に定着する工作物のうち、屋根もしくは柱、壁を有するもの。またこれに付属する門や塀、地下など」を建築物と定義しています。
こうやって調べてみると、私たちが目にしているほとんどのものが防火対象物というわけです。
そのなかでも、特定防火対象物というものがあります。
特定防火対象物とは
映画館やデパート、地下街などが、この特定防火対象物にあたります。
また、入院施設のあるような大きな病院や、老人入所施設等も特定防火対象物です。
不特定多数が出入りする大きな建物や、火事が起こった時に自力で逃げることが困難な方が出入りする建物をイメージするとわかりやすいですね。
防火管理者の選任が必要なのは
では、どんな建物だと防火管理者が必要なのでしょうか。
簡単にまとめると、
・特定防火対象物の場合、建物全体の収容人員が30人以上
・非特定防火対象物の場合、建物全体の収容人員が50人以上
の場合、防火管理者の設定が必要となります。
(ただし、特定防火対象物の中でも一部の特定防火対象物では収容人員10人以上で専任が必要な建物もあります。)
「収容人員」は防火対象物区分によって、算定方法が違うので、確認が必要です。
届出等必要の有無について、横浜市消防局のお知らせがわかりやすいので載せておきますね。
まとめ
近年、繁華街での大規模な火災のニュースを目にします。
一見、火の手のないところでも、共用部に置かれたものに放火されたり、電気関係のショート等で火事が起こる場合があります。
このような惨事が起きないよう、法令を遵守することはもちろん、日頃の点検や訓練は重要なことと意識することが大切です。
法令も防火・防災管理体制の強化をはかり、都度改正されています。
これから開業される方はもちろん、既に営業されている事務所等においても、防火管理について今一度見直してみてはいかがでしょうか。