契約する前に注意すること その1

貸主の情報を確認しよう

貸主情報知っていますか?

物件探しを始めて、賃貸借契約を結び、不動産業者を介して物件の引き渡しを受けるまでの手順を簡単にまとめると次のようになります。

  1. 物件の情報を集める
  2. 条件の条件に適合する物件資料をリストアップする
  3. 物件の内覧を行う
  4. 申し込む
  5. 審査(OK⇒6へ、NG⇒1に戻る)
  6. 媒介の不動産業者より重要事項説明を受ける
  7. 契約金等を支払い貸主との賃貸借契約を取り交わす
  8. 物件の引き渡し

 

賃貸借契約をする際に一般的には貸主・借主・仲介人(媒介不動産業者)が登場するわけですが

借主さんと、貸主さんが顔を合わせることは滅多にありません。

その為、借主は入居申込の際、自分のあらゆる情報を貸主に開示して審査をうけます。

 

今回は、契約する前に気を付けたいことについて書いてみたいと思います。

 

重要事項説明書の中の貸主情報

まず、契約前に必ず目を通すことになるのが、重要事項説明書です。

宅建業法第35条では、物件に関する事項を記載した書面を交付し、契約締結前に宅地建物取引士によって借主に説明することを義務付けています。

この書面には、取引に関する様々な事項が書かれており、その中にはもちろん貸主の氏名(法人名)や住所の記載がされています。

これで、どんな人(法人)から物件を借りるのかがわかります。

 

そしてもう一つ大事なのは、「登記簿に記録された事項」にある所有者に関する記載です。

「貸主と所有者って同じじゃないの?」と思うかもしれませんが、必ずしも貸主と所有者はイコールではありません。

共同で所有しているために所有者が複数名いて、その中の一人が貸主になることもあれば、所有者は個人、貸主は所有者が代表を務める法人ということもあります。

また、サブリースといって、不動産業者が一括で借り上げて転貸する形態も最近は多く、そういった場合は所有者と貸主が異なっています。

このように、これから借りようとしている物件の所有者・貸主のことが、この重要事項説明書で知ることができます。

 

登記簿謄本にみる所有者の情報

重要事項説明書の「登記簿に記録された事項」に所有者の記載があることは先にお話ししました。

では、その登記簿についても少し見ていきたいと思います。

 

登記簿謄本とは

登記簿謄本とは、法務局で管理している登記の記録の写しのことです。

昔は台帳で管理していたので、登記簿と言っていましたが、現在ではコンピューター化されて、登記記録というデータになり、正確には「全部事項証明書」と言います。

法務局まで足を運ばなくてはならなかった登記簿謄本でしたが、今はインターネットで取得することができるようになりました。

謄本で注意すべきところは

さて、謄本の読み方を全部説明すると長くなるので、今回は重要事項説明書にもよく記載される「(根)抵当権」についてご紹介します。

 

抵当権設定

抵当権とは、金融機関などがお金を貸す際、土地や建物などを担保に設定し、債務が弁済されないときに、その設定したものの競売代金から優先して弁済を受けることができる権利のことです。

事務所ビルの場合は、建物を建てるためにお金を借り、そのビルを担保に設定する場合が多く、お金を貸す金融機関側からすれば、「お金を貸したんだから、返せなかったらその建物を回収しますよ」というのはごくごく自然なやり取りと言えます。

何千万ものお金を現金で出せる人は少ないですから、担保になっているからと言って危険ということはありませんが、抵当権者が銀行ではなく消費者金融などである場合には注意したほうがいいかもしれません。

 

根抵当権設定

根抵当権とは、すでに存在する特定の債権を担保する通常の抵当権に対して、継続的な取引において不特定多数の債権を担保するものです。

通常の抵当権では、お金を借りるときに抵当権設定登記をし、返したら登記の抹消手続きをします。

これが何度も繰り返される場合、手続きが面倒で、都度費用もかかります。

そこで、極度額(限度額)を設定し、その額までであれば何度でも借りたり返したりを繰り返していいというのが、根抵当権です。

例えば、ビルを建てる費用の他にビル補修の為にお金を借りたり、新規事業の立ち上げのためにお金を借りたりと、様々なことで金銭の貸し借りが行われます。

とても便利なこの制度ですが、ビルを借りる側にとって少々不安なのは、抵当権の場合、いくら借りたのかが明白で、抹消登記によりお金を返したこともわかるのに対し、根抵当権の場合は、現在いくら借りているか、返しているのかが全くわからない点です。

では、所有者がお金を返済できなかったとき、ビルの借主はどうなるのでしょうか。

 

 競売にかけられたら大変!

所有者が借りたお金を返済できなくなった場合、抵当権者は担保となっている物件を競売にかけ、その競落代金によって債務を回収することになります。

賃貸借契約を交わし、物件の引き渡し時に既にその(根)抵当権が設定されていた場合、借主は物件を競落した新しい所有者に賃借権を主張することができません。

新しい所有者が新たな賃貸借契約をすることを拒否した場合、所有者が変わってから6ヶ月の間に借りているお部屋を明け渡さなければならないのです。

ただし、猶予期間中、部屋を明け渡すまでは新しい所有者に賃料相当額を支払わなければなりません。

また、預けている敷金に関しても新しい所有者には引き継がれないため、もとの所有者に返還を求めることになります。

しかし、借金を返せずに物件を競売にかけられている所有者に敷金を返すだけの資力が残っているのかは疑問ですよね・・・(*_*;

 

何事も契約する前に

こういった場合、借主の立場はとても弱いものです。

最初の話に戻りますが、不動産業者が媒介の場合、契約締結前には必ず「重要事項説明」があります。

重要事項説明ではその名のとおり、契約前に知るべき重要な事項を説明する、借主のための機会です。

また、契約書の内容についても契約前に確認することができます。

契約書に印鑑を押す前に、よく確認することをおすすめします。